2019/09/29 13:48


AND COFFEE ROASTERS本店にて、店舗様、お客様向けのカッピングイベントを開催いたしました。

今回開催したのは、グアテマラの小規模農家コーヒー生産者団体GOOD COFFEE FARMSのカルロスさん、佐藤さんのお二人をお招きしてのプレゼンテーションカッピング会。



 

-GOOD COFFEE FARMS-

グアテマラの小規模農家コーヒー生産者団体GOOD COFFEE FARMS(グッドコーヒーファームズ)は、生産・精製・輸出入の全てのトレーサビリティを管理し、追跡可能なコーヒー生産を実現し、生産者からロースターへダイレクトに繋ぎ、本当のトレーサビリティと高品質なスペシャルティコーヒーの生産をしている会社です。

グアテマラ出身のカルロスさんは2011年に日本で会社を設立し、DARKS Coffee(ダークスコーヒー)というブランドを立ち上げました。最初は他の会社から生豆を仕入れていましたが、自分のブランドのために2016年グアテマラに戻り精製処理工場開発をスタートしました。自転車を使用した独自の精製処理が現地で噂になり、次第にたくさんの農家が参加したいと集まるようになりました。知ってはいましたが、トレーサビリティのない生産や流通、何より大変になっている小規模農家が沢山いる現実を見ました。そこで精製処理をしたことのない農家にノウハウを教え、一緒に生産をスタートし2017GOOD COFFEE FARMSとして生産者団体を作りました。



 

 -カルロスさんのトークセッション-

まずはカルロスさんのトークセッション、GOOD COFFEE FARMSを立ち上げるに至ってのお話やコーヒー生産に関するお話、GOOD COFFEE FARMSの取り組みなど、写真や動画を交えての説明はとても分かり易く、私たちの質問に受け答えしながら進めていって下さるので、内容を深くスムーズに理解する事ができました。



 

-coffee

カルロスさんのコーヒーに対する情熱とアイデアは本当に素晴らしく、美味しいコーヒーを生産するためにトライアンドエラーを繰り返しながらも、様々な新しいチャレンジに取り組んでいます。

その中でも一つは、環境に優しく、かつ金銭的な負担の少ない精製方法を確立するために思いついた自転車を動力とする脱殻機を使った「ドライ・バイシクル・パルピング」。水も燃料も電気も使わずに果肉を除去できます。通常コーヒーチェリーの外皮と果肉を除去する工程はウェットミルと呼ばれますが、GCFは自社開発のシステムで水を使わずにこの工程を行います。


 

もう一つは、日本で見たビニールハウスを参考に無香の素材を使ったビニールハウスと棚を使用し、周囲の環境からコーヒーを守る「ビニールハウス農業」。パティオでの乾燥は動物や人間が誤って踏んでしまったり、ごみの付着や雨により品質が低下します。ビニールハウスでの乾燥により安定した品質管理を可能としています。また、ビニールハウスには紫外線をカットする素材を使用し、ビニールハウス内の温度は試行錯誤の結果最適とされた37℃に保てるようにしています。

 

-Management

生産システム以外にも、農家の方々のマネジメントにも丁寧に取り組んでおり、美味しく熟したチェリーだけを全てハンドピックすることや、ピッカーの方々も全員制服を着用し、身なりを意識することで丁寧な仕事になり、仕事に対する意欲やチームワークも高まるそうです。工場内ではあらゆるルールを徹底し、清潔な環境で管理しており、これも日本の仕事のマナーやルールからヒントを得て取り入れています。

トレーサビリティに関しても農園で作業する人のリストや、収穫エリアとその時期はもちろん、いつ、誰が、どこで仕事をしたのかのあらゆるデータを毎日記録します。精製方法の選択にあたっては、農園でもミルでもチェリーの糖度を計測しそのときどきで最適な方法をとるようにしているそうです。

 

-Up cycle

またグッドコーヒーファームズは、コーヒービーンズ以外にも「カスカラ」や「コーヒーノキを加工したグッズ」などの販売も行っています。

安全で高品質な農作物の安定な生産を続けるためには、ごみになっているカスカラもまた大きな問題になっているみたいです。環境と調和のとれた農業生産にカスカラはとても重要な課題で、GCFは肥料に使うだけでなく、生豆と同様の工程で食品として丁寧に生産することでコーヒーチェリーティーやスーパーフードとして販売もしています。

コーヒーノキも環境問題への対策の一環で、これまでは薪としてしか活用されていなかった寿命を迎えたコーヒーノキはコースターやスプーンなどに加工して販売し、農家にとっての新しい収益源を作りつつ、ゴミを減らそうとしています。

このように、グッドコーヒーファームズは美味しいコーヒーを生産する事以外にも、環境のこと、農家で働く人々のことを考えた取り組みを積極的に行っているチームです。



 

 

-カッピングセッション-

カッピングセッションでは、5種類のマイクロロットコーヒーと、7種類のナノロットコーヒーの計12種類のコーヒーをカッピング。同じエリアのコーヒーでいくつかの小規模農園のもの。この各農園はすべて歩いて回れるほどの距離にあるそうです。品種や精製方法も様々で各ロット本当に素晴らしい個性があり、高いポテンシャルを感じました。

いちばんに感じたことは、全体的にとにかくクリーンで甘く、バランスのとれた印象のものが多いこと。その中でも、フルーツのような明るい酸を持ったコーヒー、チョコレートのような甘さを持ったコーヒーなど、同じエリア、同じ精製方法でも、品種や収穫日が違う事で味わいの違いが感じられたのは新鮮でした。

さいごは、一番美味しいと感じたコーヒーを発表、参加者みんなで意見を共有しました。



 

今回のGOOD COFFEE FARMSプレゼンテーションカッピング、熊本では初の開催となりましたが熊本のロースターをはじめ、一般のお客様にもたくさんの方にご参加いただきとても嬉しくおもいます。参加者の皆様、サポートしてくださったスタッフの方々、そして北海道から熊本へお忙しい中お越し下さったGOOD COFFEE FARMSのカルロスさん、佐藤さん、ありがとうございました!

 

 

GOOD COFFEE FARMSの小規模農家のコーヒーがこうしてマイクロロット、ナノロットとして日本にやってきたのは今年が初めてとなります。これは、GOOD COFFEE FARMSのコーヒーへの情熱と惜しみない努力があったからこそだと思います。日本初上陸のコーヒー、AND COFFEE ROASTERSでは、GOOD COFFEE FARMSのマイクロロットコーヒー3種類取り扱いを開始します。

店頭、オンラインストアでも販売開始したのでぜひこの素晴らしいコーヒーをお楽しみ下さい!



 

Presented by : GOOD COFFEE FARMS / AND COFFEE ROASTERS

Text by : Ryota Miyoshi

Photo by : Ryuichiro Saiki