2019/02/21 22:13

ドリップには様々なレシピが存在し、淹れ方ひとつでコーヒーの味わいが大きく左右されます、私たちは豆量や湯量、湯温など多くの要素を工夫してコーヒーを抽出していますが、その大切な要素のひとつに注湯の仕方があります。

今回は、注湯の際のお湯の太さや勢いで具体的にコーヒーの抽出がどう変わり、味にどのような影響を与えるのか検証していきたいと思います。

 

使用するコーヒー豆は、1月に入荷したばかりの新豆「Rwanda Kivu Belt Lot.14

ジューシーな酸と複雑なフレーバー、後味に長く続く甘さが特徴です。

 

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今回は実際にAND COFFEE BREWERSで使用している、カリタのウェーブドリッパーを使って検証していきます。




検証方法:

同じ条件で4パターンの注湯方法で抽出。

 

A)      1投目の蒸らしから50gのお湯を低い位置から太めにドバドバと真ん中へ注ぐ、30秒後に同じ注ぎ方で80g、そのまた30秒後に70gを同じ注ぎ方で注湯。

B)      1投目の蒸らし、30gのお湯をコーヒー粉にのせるイメージで優しくぐるぐる注ぐ、30秒後、1投目より少し高い位置からぐるぐる細めに50g注ぐ、34投目は30秒ごとに60gずつ真ん中に優しく注湯。

C)      1投目の蒸らし、30gのお湯をⒷと同じように注ぐ、30秒後2投目50gのお湯を高い位置から激しく注ぐ、34投目も30秒ごとに60gずつをお湯で撹拌するイメージで激しく注ぐ。

D)     1投目の蒸らし、30gのお湯をⒷと同じように注いだあとスプーンで5回混ぜる、その後はⒷとまったく同じ注湯。




少し分かりづらいのでまとめると

 

A)      太い注湯で、ただ真ん中に落とすイメージ、注湯回数は3回。

B)      12投目はぐるぐると34投目はまっすぐ注湯。注湯回数は4回。(アンドコーヒーのスタンダード方式)

C)      蒸らし後の2投目から、お湯で撹拌するイメージで激しく注ぐ。注湯回数は4回。

D)     蒸らしの後にスプーンで5回混ぜる。注湯回数は4回。




以上、4パターンの注湯方法を試しましたが結果としてまずお湯が落ちきるまでのトータルの抽出時間に大きな差がでました。

 

アンドコーヒーのスタンダードであるBの注湯法は、245秒。

Aの注湯は、25秒で落ちきり。

Cの注湯は、325秒で落ちきり。

Dの注湯は315秒で落ちきり。

注ぎ方を変えただけなのに、最大で1分以上トータルの抽出タイムに差がでました。




では次に一番肝心な味わいをみていきましょう。

 

A)      ウォータリー(水っぽい)でフレーバーも弱い、ボディも物足りなさを感じる。アフターが短く、甘さが弱い。《落ちきり時間2:05

B)      フレーバーがしっかり出ていて、アフターにも甘さがしっかりと感じられる。マウスフィールも良い。《落ちきり時間2:45

C)      フレーバー、甘さは出ているが酸の主張が強い、若干渋く、クリーンさに欠ける。マウスフィールも良くない。(もやもやする感じ)《落ちきり時間3:25

D)     フレーバーは出ているが、若干渋く、全体的にバランスの良さに欠ける。《落ちきり時間3:15

 

4パターンの注湯の仕方で、思った以上に味わいに違いが出ました。

抽出の様子と味を踏まえてひとつずつ詳しく考察してみましょう。




Aのコーヒーは、太い注湯で低い位置からドリッパーの真ん中へドバドバと注いだことからコーヒーの落ちるスピードも速く、全体の抽出時間も4つの中では一番短いタイムになりました。結果としてコーヒー粉とお湯が触れる時間も短く抽出も不十分なためフレーバーがしっかり取り出せず、ボディも弱い未抽出のコーヒーとなってしまいました。特に後味の甘さが一番弱かったのがこのコーヒーでした。

 

Bのコーヒーは、12投目はぐるぐると、34投目はまっすぐ真ん中に注ぐ注湯法でした。1、2投目で万遍なくコーヒー粉とお湯が触れ、しっかりとコーヒーのフレーバーが取り出され、34投目ではお湯をまっすぐ落とすことでコーヒー粉を無駄に撹拌することなく、

スムーズな抽出ができました。甘さがありマウスフィールも良く、クリーンでした。このコーヒーが一番美味しかったです。

 

Cのコーヒーは、お湯の注ぎで撹拌するイメージで抽出しましたがドリッパー内のコーヒー粉が暴れすぎてしまい、お湯の抜けが悪くスムーズな抽出ができなかったです。甘さやフレーバーは若干でているが全体的に過抽出になってしまい、渋みや嫌な酸味が気になりました。

 

Dのコーヒーは、お湯ではなくスプーンでの撹拌で抽出しました。1投目の蒸らしの後にスプーンで軽く混ぜることでコーヒーの抽出を促し、味をさらに取り出せるイメージでしたが、若干渋みがあり甘さは出ているがクリーンなフレーバーが弱く全体的にバランスの悪いコーヒーになってしまいました。このコーヒーも過抽出気味。




このようにお湯の注ぎ方でドリッパー内のコーヒー粉の動きが大きく変わり、結果として粉とお湯の接し方や抽出時間に影響を与え、抽出液に味わいの違いがでるということが分りました。

また、ドリップは抽出が速すぎても遅すぎても何かが欠けた印象のコーヒーになってしまうことが明らかになりました、今回の検証結果からもいえるようにアンドコーヒーでは230秒から3分くらいの抽出時間を推奨しています。

みなさまも自宅や職場でコーヒーを淹れられる際は、お湯の注ぎ方をちょっとだけ意識してみることでコーヒーをもっと美味しく楽しめることでしょう!

それではより良いコーヒーライフを!!

 

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※コーヒーの抽出にはさまざまな要素が複雑に関係しあっています。今回はあくまで豆量や挽き目などを設定したうえでの検証となりましたのでこのような結果になりましたが、抽出レシピや使用する豆、器具、水、その他多くの要素によって結果も変わってきます、あくまでもご参考までに。